アニサキスとは
「アニサキス幼虫」という寄生虫が寄生した魚介類を生食すると、アニサキス幼虫が胃腸に噛みつき、症状が引き起こされます。アニサキス幼虫はサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。
アニサキスの体長は約2㎝で、目視が可能です。見た目は細く、白い糸くずのような形状をしています。適切に処理することで感染を予防でき、加熱または冷凍処理すると死滅させることが可能です。
11月から4月の冬季に多いですが、広域流通の発達などもあり6月から9月の夏季にも発生しています。
典型的な症状としては生の魚介類を摂取した後、数時間から数日後に持続する腹痛や差し込むような痛みが起こります。吐き気、嘔吐、発熱を伴うこともあります。内視鏡でアニサキス虫を除去することで速やかに痛みがおさまる場合が多いです。
アニサキスによる症状
胃アニサキス症
典型的な症状としては生の魚介類を摂取した数時間から数日後に持続する腹痛や差し込むような痛みが起こります。吐き気、嘔吐、発熱を伴うこともあります。
内視鏡でアニサキス虫を除去すると,速やかに痛みがおさまる場合が多いです。痛みの症状はアレルギー反応によるものと考えられています。内視鏡検査でアニサキスの寄生虫体を確認できなくても、粘膜に発赤や潰瘍、腫れなどの変化が見られれば、胃アニサキス症と診断される可能性があります。アニサキスは人間を宿主とすることができず、体内に侵入しても数日から1週間程度で死滅しますが、内視鏡的手術によって取り除くことができます。
生の魚介類を摂取した後に、上記のような症状が現れた場合は、速やかに受診してください。
腸アニサキス症
腸アニサキス症は、アニサキス幼虫が腸壁に侵入することで発症します。生の魚介類を摂取後数時間から数日後に強い下腹部痛が現れ、吐き気・発熱・頻脈・腹水などの症状を伴うことがあります。
腸アニサキス症は胃アニサキス症よりも稀であり、発症までに時間がかかるため、食事との関連が分かりにくく、診断は難しい場合が多いです。しかし、詳細な問診やCT検査などによって診断されます。
稀ではありますが、腸アニサキス症は重大な合併症である腸穿孔や腸閉塞を起こすリスクもあるため、軽視できません。
消化管外アニサキス症
生の魚を摂取した後、アニサキスが消化管の粘膜から腹腔内に移動し、そこに肉芽腫を形成することがあります。
この場合、症状は肉芽腫のできる箇所によって変わります。
アニサキスアレルギー
アニサキスアレルギーは、アニサキス摂取後にアレルギー反応を生じる疾患です。
生魚を十分に加熱・冷凍し、アニサキスが死滅していてもアレルギー反応が出ることがあります。
適切に処理をした魚介類(サバ・イワシ・カツオ・サケなど)を摂取した後にアレルギー症状が見られる場合、アニサキスアレルギーの可能性も考えられます。まれに重篤なアナフィラキシーショックを引き起こし、呼吸困難など危険な状況を招くことがあるため、注意が必要です。
アニサキスの治療方法
胃アニサキス症の場合
アニサキスは、胃内視鏡により取り除くことができます。アニサキス症の辛い症状は、ほとんどアニサキスを取り除くことで速やかに改善します。
アニサキスの除去後には、胃アニサキス症の発症部位に起こったアレルギー反応を改善するため、抗アレルギー薬や鎮痛剤、抗ヒスタミン薬、ステロイドなどの薬が処方されます。
抗体が過敏反応を引き起こしている場合、アニサキスが除去されても数時間痛みが続くことがあります。
腸アニサキス症の場合
小腸に寄生したアニサキスは、通常の内視鏡では除去できないため、絶食・点滴などの対症療法を行います。腸閉塞や腸穿孔が生じた場合は、外科手術を考慮する必要があります。
アニサキス症の予防策
アニサキスは、十分に加熱したり、-20℃以下で24時間冷凍することで死滅します。
生の魚介類の摂取を控え、加熱・冷凍したものを摂取することが予防につながります。
アニサキスは目視できるため、生魚でも専門家が処理すれば発症リスクは大幅に減らせます。
ただし、アニサキスアレルギーがある場合は、完全に除去してもアレルギー症状が出る可能性があるため、アニサキス寄生の危険がある魚介類の摂取は避けてください。